視察を終えて

どうなる事かと心配だった視察旅行も帰国の途に向かうことになりました。
思えば今回の旅行は、直前まで何かとトラブル続きの連続でした。
まずはいつも使っている私のモバイルパソコンのモニターが突然写らなくなってしまい、急遽自宅で家族が使っているパソコンへ必要データを移し、それを代替えとし持って行きました。
またもう一つ、私の愛用の腕時計が出発前日に壊れてしまい、これも修理に出す羽目に・・・
しかも代わりに持っていった時計が韓国に着いたとたん電池切れで止まってしまい、しかたなく免税店で購入することになりました。
そんなこんなでバタバタとした出発前でした。


肝心な温浴視察の感想ですが、ほとんどの施設に共通して大変興味深かったのはロッカールームのシステムです。
ほとんどが男女の区別がなく、受付を済ませてロッカールームにはいる動線上に1.2メートル角ほどのちいさな脱衣スペースがいくつもあり(中にはベンチや、ハンガーなどが有ります)片方のドアから入って、ここで来ていたものを脱ぎ、水着を着たり、バスローブを羽織ったりしてもう片方のドアを開けたところに脱衣を入れるロッカーがあり、そこへ脱いだものを収納します。
これは男女のロッカースペースを節約でき、また男女比率によるロッカーロスがなく大変合理的だと思いましたが、日本では入館者が集中しすぎて、いわゆるボトルネックになり難しいかも知れません。


他には、ほとんどの新しい施設が館内利用に「ICチップ」の入ったリストバンドを使用します。
ロッカーも空いている自由な番号を使用でき、このバンドで扉のつまみをプッシュ又はタッチすると、自動的にロックがかかり同じリストバンドでないと鍵が開かないシステムです。
また、このリストバンドで館内の食事や、料金追加ゾーンなどにはいる際、ゲートですべて課金が行え、利用者は最後に施設を出るときにそれらを精算するというシステムです。
ゲートを設置することでイニシャルコストはかかるかも知れませんが、非常に機能的だと思います。


今回視察したのは大きく分けて大きなレジャープールを主とした、どちらかというと「遊び」要素の高い施設と、マッサージ等のトリートメントや数々のサウナを中心とした、「療養」や日本で言う「癒し」系施設の二通りに分けられると思います。
日本のようにお風呂に入るという習慣はなく、その代わりサウナに入りそのあとプールでゆったりする。
からだは最後に出るときに簡単にシャワーを浴び洗う程度で、当然かも知れませんが日本でいうお風呂とは全く違った利用の仕方でした。
その代わりサウナの演出や機能には徹底的にこだわり、それぞれの施設が文字通り独自固有の長所を出していてとてもグレードの高い施設ばかりでした。


以前、私の友人のデンマーク人から聞いた話ですが、ドイツに限らずヨーロッパでは海水浴という習慣があまりなく、(海が全くない国もあるわけですから)特に北の方の国では暖かく日光浴できる期間も少ないために、すこしでも外にいる時間をとることを大切にしているということでした。
ドイツでも暖かな空間で外光が降り注ぐ温泉プールに入ったり、その横のリクライナーで昼寝をしたり本を読んだりと、寒い季節でも利用者が多いのはそのためだからでしょうか。
日本でも、ある時期これらを真似てたくさんの施設ができましたが、結果的にいくつかは閉鎖されてしまいました。
私の感想としては、先に述べたように国民性が違うので、この業態をそのまま日本へ持っていっても長続きしないのは当然だと感じました。
(夏は良いが冬の集客が少ないという現象)
むしろドイツで見たたくさんの趣向を凝らしたサウナの様に、日本独特の文化である「お風呂」をもっともっと追求しバリエーションを考える事が重要なのだ、またそれが我々温浴に携わる者に課せられた使命だと感じました。
(ちょっとかっこよく締めすぎました・・・・)



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